天地人 黒澤博幸

Hiroyuki Kurosawa






清く奔放な"気"を奏でる三味線奏者

 1972年、岩手県盛岡市生まれ。7歳から三味線を習い始め、中学生で料亭や民謡酒場での演奏経験を積む。17歳で白川流津軽三味線奏者の井上勇美人(ゆみと)氏のテープで学び、更に津軽三味線の巨匠、高橋竹山氏のテープを譲られ、津軽三味線を独学で学ぶ。竹山の哀愁を帯びたフレーズ、白川流の華麗なテクニックとダイナミックな叩きを学び、独自の奏法を完成させていく。
20歳で作曲を始め、多彩な活動を試みる。

 2002年〜2004年、津軽三味線発祥の地で行われている「津軽三味線全日本金木大会」最高賞の「仁太坊賞」を3年連続獲得。栄誉ある「仁太坊賞」を3年連続獲得したチャンピオンは、黒澤博幸が最初である。

 現在、津軽三味線の師匠として、県内で数多くの弟子の指導にあたる他、姫神のアルバム制作に参加、沖縄の三線と津軽三味線の共演や、さまざまなジャンルのミュージシャンとのコラボレーションなど、プロ演奏家として幅広い音楽活動を続けている。

津軽三味線と天地人

 津軽三味線は150余年前、盲目の芸人、仁太坊こと秋元仁太郎が苦境の中で命懸けで作り上げた民族芸能。仁太坊の芸人魂を受け継ぐ黒澤の見事なバチさばきは、雪原の合間を流れる清流の勢いを思わせる。そこには、音が生命を持ってひとりでに動き出すような美しい躍動感がある。

 「365日、同じ天気はないように、自然は一瞬ごとに変化して行くもの。天地人は自然のエネルギーに逆らわず、即興性を大切にしています。だから同じ曲を100回演奏しても、100回とも違って聴こえるはずです」

 叩き奏法、弾き奏法、そして、つまびき。ロックのギタリストのように時に激しく、時に繊細に津軽三味線を弾き鳴らす黒澤の優れた才能は、作曲面でも発揮されている。

 天地人のメロディーメーカーは、黒澤自身である。

 「晴れでも嵐でも、自然に逆らわずに生きる北東北の人々の姿を音楽を通して世界の人々に伝えたい。そして、聴く人が元気になる応援歌を作って行きたいと思います」

 今年で三味線をもって30年。卓越した奏法とオリジナリティ溢れる作曲の才能を持つ黒澤が表現するのは、天と地のエネルギーに呼応して生きる人の"気"そのもの。その"気"は、清く芳烈。豪雪を弾く木々の枝のように強くしなやかだ。


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